愛の棘

私とそのひととは磯をつたう二羽の「浜千鳥」であった。『海辺の生と死』に続く、単行本未収録のエッセイ集。戦が迫る島での恋、結婚と試煉。島尾敏雄との日々を南島の言葉ゆたかに回想する。

翻訳出版編集後記

早川書房での10年間の編集者生活 英米のエンターテインメント小説やノンフィクションを刊行し、出版界に新たな道を拓いた常盤新平が、体験を基に翻訳出版のあり方を問う、新発掘の傑作回想記。

歌が街を照らした時代

歌謡曲を劇中に導入するなど斬新の作品を多数演出し、作家でもあった久世光彦の「歌」にまつわる珠玉の随想群を集成。併録:対談・鼎談(×阿久 悠・小林亜星)+阿久悠による久世光彦追悼文

冥土の土産

81歳の小出版社主が、終活を念頭に半生を顧みながら 老いとむきあいながらも楽しさを忘れない日常を綴る。

行列の尻っ尾

「わたしの好きな場所…… 監獄と軍隊を除けば何処でも好きです」文学に生涯を捧げた私小説家の未刊行随筆89篇を初集成。

昭和の歌100

時代に選ばれたヒット曲とその秘話。表も裏も知り尽くした男の昭和歌謡史。 作り手と併走した名物芸能記者にして名プロデューサー、元レコード大賞審査委員長だった著者の回想。

マジカル・ヒストリー・ツアー

「歴史ミステリ」とは何か? 『時の娘』『薔薇の名前』『わたしの名は赤』などの名作をとおして、小説、宗教、美術が交差する「近代の謎」を読み解く。ミステリ作家による歴史ミステリの教室。書き下ろし。

記憶の道草

誕百年、百の随想。晩年の文業を初集成 仕事部屋の愛用品、移りゆく季節、友人との語らい…… 哲学のエスプリと豊かな詩心で綴る円熟のパンセ。

マスコミ漂流記

戦後闇市派の昭和30年代+戦後メディアの群雄の記録 TV草創期の舞台裏を克明に描いた自伝的エッセイ、初の書籍化。

江戸おんな歳時記

江戸期の女性は自由だった! 年齢、身分を問わず全国から選りすぐった俳句案内。 読売文学賞受賞作!

常識の路上

でもワイルドサイドを歩け。つか歩く。 3.11をはさんだ単行本未収録原稿を集成する、3年ぶりのエッセイ集。信じるべきものとはなにか…… 「コモンセンス」への怨恨。

本に語らせよ

2015年5月に死去した詩人が、単行本未収録エッセーを中心に厳選、改稿、構成した最後のメッセージ。

徴用日記その他

国家権力と対峙してきた作家ならでは「表現の自由」への思い 『生きている兵隊』発禁から戦後まで。「英霊よ安かれなどというのは、愚者の言葉ではないだろうか」

最後の祝宴

横隔膜のあたりに冷たい水のような笑いがにじんでくる 60年代からの単行本未収録作品を集成。初期15年間の全作を網羅した「作品ノート」と辛辣なユーモアあふれる50篇。「最後」の随筆集。解説:古屋美登里 カバー装画:蜷川有紀描きおろし。

谷崎潤一郎と好色論 日本文学の伝統

谷崎との親交を回想した「谷崎潤一郎」、「源氏物語」に対する日本人の受容の歴史を辿り、日本文学の伝統についての「好色論、ほか。解説:石川 肇

文藝的な自伝的な

戦前の裕福な家に育った幼少期から浮かび上がる戦前日本の縮図。未完の長篇自伝に作家たちとの交流などの随筆を収録。解説:石川 肇

ダイバダッタ

初の書籍化される小説と随筆。著者6年ぶりの本。唐十郎の「今」を伝える「父のこと」(大鶴美仁音・唐十郎の娘で女優)を巻末に収録。

ハネギウス一世の生活と意見

時代の現実を裏返す反世界の作家が生涯求めた「博物学的精神」の行方とは。 『虚無への供物』から半世紀を経て黒鳥座XIの彼方より甦った、全集未収録の随筆・評論集。

風の吹き抜ける部屋

小説とは何か、「私」とは何か 同時代をともに生きた戦後作家たちへの追想。創作の秘密。そして、死者と生者が交わる言葉の祝祭へ。現代文学の最前衛を走り抜けた小説家が問い続けるもの。

目玉の体操

なんてことない日常に、無限の詩をみつけた…… 「写ルンです」の冒険。写真と言葉で切り取る、見なれた景色が別の貌を帯びるとき。本文カラー39頁。写真・イラストも著者。