20世紀断層

中短編小説 1   焼跡回帰―幸福のどん底を唄う(昭和39年-49年) 幻のデビュー第二作「色小町」、渥美清、小沢昭一ら主演で映画化されながらも未収録のまま眠っていた「スクラップ集団」、戦時下の幼い恋を描く「はやすぎた夏」など、旺盛な創作欲ほとばしる初期の作品を収録。 【収録作品】色小町、スクラップ集団、はやすぎた夏、わが放蕩、くりかえし、世間ソーラン師気質、現代退屈男、アメリカしろぼうず、裏切り者、鳶の墓、五人組奇譚、都の花、泥鰌地獄、父貸し屋、凶乱旅枕、蟷螂の夫、ポルノ地獄、雌雄決すべし、野坂昭如の小説のための広告、いちやづけ、乱交つかれ、長髪への挑発、二丁目ローレライ、天下分け目の躁鬱戦、少女狩り、投賊貴族、月下の鉄棒、春のうららの隅田川、健康病患者、餓鬼千匹の修羅、眠れる美女、スカトロフィー、自縄自縛、生きる理由、死ぬ理由、おとしばなし三種、赤門志願、七・五同盟、キック&ラッシュ、淫らやつれ、ふあんとむれでい、異穴の契り 【巻頭口絵】直木賞受賞、音楽・スポーツ、テレビCMなど さまざまな「火垂るの墓」 【巻末資料】収録作品の手引き 中・短編小説集と収録作品 新聞の新刊書籍広告コレクション

維 新

どうせ変わる世、狂いの翳に鵺が飛ぶ皇女和宮の降嫁道中に随伴した岩倉と幕府側の大沢基保の奇縁。幕末から明治を生きた、それぞれの運命。時代小説の名手が書き下ろす、新視点の岩倉具視像。

父を葬(おく)る

あの世とはいいところらしい。逝ったきり誰も帰って来ない。看取り、看取られるすべての人に贈る、高千穂の土俗を舞台に描く血と救済の物語。自身の実体験をもとにした渾身の書き下ろし長編小説。

女房逃ゲレバ猫マデモ

作詞家・喜多條忠が書き下ろしたせつなくて、あたたかい「家族」。泣いて笑って癒される「実感」長編小説。重松清氏推薦!

思川バルーン

はちきれそうな想い、切なさ― あなたの風船は何色ですか。栃木県小山市を舞台にした、バブル崩壊後、ロストジェネレーションの青春、恋愛、葛藤の日々。朝日新人文学賞受賞の気鋭による書き下ろし。

おのごろじま

どこでもない どこか いつでもない いつか 生まれたばかり の なつかしい島 ぐちゃぐちゃ たぷたぷ いざなぎ と いざなみ が まぐわう 大蛇 鮫 三葉虫 が 蠢き 巫女貝 昔蜻蛉 爪水母 が 踊る。第21回三島由紀夫賞候補作。

くるーりくるくる

みんなどこへ行ってしまったのだろう? 父、母、祖父、伯母、幼なじみ、恋人(?)そして町。 「しかしそれをいま思い出せば記憶は凹凸 していて、覚えていることの前後も はっきりしなくなる。」(本文より) 旅と記憶が織りなす、七つの物語。

たそ彼れの妖怪たち

80余歳を過ぎつつ、在所(若狭)のことが気にかかる。古里の山河にいまもきっといるに違いない妖怪たち……。名作『雁の寺』(直木賞受賞)の時空へと回帰しつつ、己が身の巡礼歌をきく珠玉作『たそ彼れの妖怪たち』『青墓まで』『美濃のおいずる』を収録。

父の帽子

「文革が始まってから、私はいつも独りぼっちだった。」 文化大革命のさ中に多感な少女時代を過ごした中国人作家が、瑞々しい日本語で綴る自伝的長編。