短編を七つ、書いた順

作家生活40周年 書き下ろし 収録作品:せっかくですもの/固茹で卵と短編小説/花柄を脱がす/なぜ抱いてくれなかったの/エリザベス・リードを追憶する/ある編集部からの手紙/グラッパをかなりかけます

海岸のマサオさん

仙台・松島を舞台にした、家族4代のものがたり。どこにでもあるようなしあわせが寸断されたとき、見えてくるもの。

虎に食われた男

20年前の幻の小説、初の書籍化 「ひげの団長」こと阪神タイガース私設応援団長・松林の見た戦後プロ野球。男たちの熱狂と人生を描く長編実録小説。

ツェッペリン飛行船と黙想

文学者としてのまなざし、生活者としてのぬくみ。同人誌時代の創作から晩年の随筆まで、あらたに発見された未発表原稿を含む、全集未収録作品125篇を、初めて一冊に。

20世紀断層

長中短編小説   戦無世代への挑発―文学を舐めるな(昭和45年-平成7年) 焼跡闇市体験を克明に記した850枚を超える群像劇大作「哄笑記」、稀代のプレイボーイによる連作好色譚「伊呂波奈志、野坂流パロディ時代小説「気障の仁吉」などの長編、中・短編を収録。 【収録作品】長編=哄笑記、伊呂波奈志、中・短篇=気障の仁吉、匙は投げられた、イッツ ア ビューティフル デイ、遺産、真相、一死当選、野ざらし、中落のなやみ、朧心中、プレゼント、余計爺、電話交換殺人事件、娼婦三代記、カーテンレクチュア、殺していいとも、運,不運、ゴウ・カサノヴァノサカ号、退屈な話、四畳半昭和裏張 【巻頭口絵】自筆書・画、音楽ジャケット、出演広告ポスターなど 【巻末資料】収録作品の手引き 総合著作目録 文学的人物評 音楽的足跡

終末処分

原子力ムラ黎明期のエリートが、その「平和利用」に疑問を抱き…… 34年前、スリーマイル、チェルノブイリよりも前に発表した問題作、初の単行本化。予見されていた「原発=棄民」の構造。

四重奏

「もっともらしさ、インテリ特有の権威主義、鈍感さへの抵抗」。四つの中篇小説による、60年代、江戸川乱歩とともにした翻訳推理小説雑誌の時代。

夢の栓

ひとりの日本兵が残した謎の神ブラナをめぐり、現代と戦争の記憶が交錯する連作長篇。被爆地ナガサキの土地に根ざしつつ、人のあり方を見つめなおす、珠玉の作品。

この人を見よ

徹底した批評意識と小説の概念をも破砕するユーモアが生み出す、比類なき幻想空間。戦後日本文学の鬼才が、20世紀を総括する代表作『壁の中』を乗り越えるべく未完長篇、初の書籍化。

螺法四千年記

ふるさとはかくも妖しき 現在という地平線に交錯する、神、人、ちいさな生き物たちの時空。「此岸と彼岸」「私と彼方(あなた)」の景色を打ち立てた、新しい文学の誕生。野間文芸新人賞受賞作品

天馬漂泊

いやはや生きる術のふらりと拙し 敗戦後、檀一雄との交流を軸に太宰ら若き無頼の群像。文壇の青春の記録。檀一雄生誕100年記念出版

奥山准教授のトマト大学太平記

「先生、私たち何のためにフランス文学なんか勉強するんですか」 文学と大学の落日をめぐる、ブラックユーモアあふれる長編小説

地の鳥 天の魚群

その後、絶望は深まりましたか? 日常に訪れる夜と夢。奥泉作品の萌芽が垣間見える幻の処女長編、初の書籍化。表題作に2編の短編を加える。

五十鈴川の鴨

人のあわいを繋ぐ8つの短編 淡い交りだった。静寂な川の流れに、生きては会えぬ人のおもざし。あたうかぎりの寡黙と忍耐にひめた原爆の影。17年ぶりの本格短編集。

餞(はなむけ)

中国共産党によって破壊されるまえの北京天橋で鼓姫を愛した日本人男性が、50年の時を経て、その街で出会ったのは亡き息子の許嫁だった。「お義父さまの子を宿しました」 本文活版印刷、形のある本へのこだわりをこめた限定出版

20世紀断層

中短編小説 3   漂白する伝説―絶望からの世直し(昭和60年-平成15年) 昭和天皇崩御から自身のマスコミ漂流時代を振り返る「昭和伝説」、阪神大震災をテーマにした「神戸鎮魂」、性の名作を21世紀に語り直す現代語訳「四畳半襖の下張など、昭和の終わりから平成にかけての作品群を収録。 【収録作品】ビッグトゥモロウ・プレジデント、他人の夜、母・性愛、不器用な夜、渡るべき河、淫行礼讃、花園ラビリンス、一片のメロドラマ、「ヒロ」と「ヒロ」、遺した言葉、幻想酒場〈ルパン・ペルデュ〉、病気の話、文壇句会必勝法、歩く老人、模写美術館、画商奇譚、昭和伝説、小さな罪、当世百物語、年寄り殺し、新幹線9号車、めぐる歳月嘘の皮はぎ、六〇年代序章、刃の下、ただ盃をしめすのみ、歌仙殺人事件、終結、生き造り、「今晩は、キャスターです」、勝手にコンセント、神戸鎮魂 五十年目の娼婦、昭和二十年・女の館、陸軍「は」号特殊兵器、当節ナラヤマロック考、警察発表、記憶テスト、男子存廃此一腺、最後のエロ事師たち、風紀委員、万世一虫、現代語訳「四畳半襖の下張」、生娘いまいずこ、誰よりも妻を── 【巻頭口絵】特集雑誌、グラビア、出版広告など 【巻末資料】収録作品の手引き 野坂昭如参考文献案内 90ページ以上にわたり詳細を極めた「決定版野坂昭如年譜」(村上玄一編)録

20世紀断層

長篇小説 2 繁栄の廃墟―世紀末幻想を嗤う(昭和53年-平成2年) 高度成長下の廃棄物問題をとりあげた「終末処分」、田中角栄をモデルに壮大なスケールで戦後政治史の裏側をとらえる「天地酩酊」、日本とパリを舞台に人々の不安な心性を描く「吾亦戀」など、多彩な活動の成果を活かした社会派作品をおもに収録。 【収録作品】終末処分、天地酩酊、私の他人たち、吾亦戀/参考作品(流れていまは) 【巻頭口絵】家庭風景、マスコミ活動、国内取材など さまざまな「戦争童話集」 【巻末資料】収録作品の手引き おもなエッセイ集と対談(座談)集の内容

20世紀断層

中短編小説 2   闘争指南―あえて、ドン・キホーテ(昭和50年-59年) 失われた出版文化の悲喜こもごもを追想する「素晴らしき日本文壇」、自身のアメリカ取材を題材にした私小説的な「自働悪意、わいせつ刑法を諷刺したアダルト・ビデオ版『エロ事師たち』ともいえる「輝け!刑法一七五条」など、政治・選挙運動や「四畳半」裁判といった「行動」の時代の資料と埋もれていた作品群を収録。 【収録作品】マントの悪夢、舌切雀、七つ下りの雨、オヤマタケル、至福万病、ハゲオとシワレット、痒みの研究、素晴らしき日本文壇、万古不易、集金旅行後日漫譚、母娘草、憑きもの、エフェドリン・モーニング、訪問者、すいません死んでます、室内走者の孤独、コンピュー盗、新宿和田組界隈、あちらとこちら、万里華讃歌、ワクチン人間、からくり車、溜まりの眺め、鉢巻幇間、自働悪意、陽気な妖女たち、お時さんの御守り、同窓会、日米酒合戦、輝け! 刑法一七五条、悪婆の選択、殺ったのは僕だ、日仏神前歌競べ、上手な使い方、花園のアリス、新橋ふう、姫育て、姥小町、ラグビー指南、先天性有徳症、みのむしの糸、彷徨、復活祭、眼福千年、偉大なる父、焼跡のマリア、新婚スワッピング、お婆さんの話、ヴァージン・ダイアローグ、日日是処女、荒唐夢契、あちらの時間 【巻頭口絵】海外取材、政治活動、「四畳半裁判」など 【巻末資料】収録作品の手引き 文庫目録 新聞・週刊誌に見る野坂昭如行動の軌跡

20世紀断層

長篇小説 1 生き残りの闘争―餓鬼と修羅の原風景(昭和44年-52年) 焼跡闇市から放蕩の学生時代までを描く青春物語「餓鬼の浄土」、大阪の農村を舞台に戦後農業を問う「土の奢り」、自らの破滅の血筋・原点を辿る幻想的な「火系譜」など、おもに自伝的作品を収録。 【収録作品】餓鬼の浄土、土の奢り、好色萬載集、火系譜/参考作品(土と土の子、マイ・エレクササイズ) 【巻頭口絵】幼少から青春期 さまざまな「エロ事師たち」 【巻末資料】収録作品の手引き 長編小説発表紙誌と目次 新聞・雑誌にみる野坂昭如「作品評」