あっちゃん

1960年代後半から1970年代前半にかけて、「ファイトだ‼ピュー太」「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」『新八犬伝』等々、夢中になった番組のこと、ADHD、好みの女子、小児性欲の記憶を、生まれ育った町、茨城・水海道と埼玉・越谷を背景にたどる自伝の試み。
私は自分の人生の半分以上はテレビだった人間だから、それをあえて書くことにする。書き下ろし長篇私小説。

蛍日和

出会い、引っ越し、再婚、断煙、禁断症状、不安神経症、ノイローゼ、睡眠障害、鬱、妻の事故……その屈託に寄り添った妻との十五年。4篇収録

廊下で蛍とすれ違うことがある。といっても大抵はトイレから出て来た蛍の脇を私が通るのだが、狭いから、蛍は片側の壁に、両手をあげてピタッと張り付き、「あじのひらきッ」と言うのである。


【収録作】
蛍日和
幻肢痛
幕見席
村上春樹になりたい

自滅

君も俺の黒い底
畜生の根性 火事場泥棒 人間の本当とは
帰ってきた私小説

「私は皆ながいいなら……、大丈夫です」「そうか、では彼にはよく反省して貰って、この話し合いはこれで終りということでいいね。サア君、皆なへ謝り給え!」「迷惑かけて、真実(ほんと)にすみませんでした!」「君、俺にじゃなくて彼女達に謝るんだぞ!」「真実(ほんと)に! ごめん! 君達! ごめんよ!」「ウム、そうだ! ほら、若者らしく握手して、仲直りし給え!」……そんな中、一人異才(いさい)な者がこの即興劇には混じって居た、時計は八時を指した、無論それは亜由美であった。――本文より

あとがきよりこれまでの人生をそろそろ勘定していかなければならない、そんな気持が私にこれらを書かせた。またこうしたものを書くからには、その種の嘘偽りを禁じることを肝に銘じて、血でもって書く作家の本分として取り組んだ。結果それは私の家族を、友を、愛する人達を、傷つけることになっただろうか。許してくれというほかにない。――「あとがき」より