人生は甘美である

牧野信一を師とし、坂口安吾、中原中也、埴谷雄高を友とした無口な作家。
武田泰淳が褒め、種村季弘が愉しんだ、日本文学史上かくも自由で稀有な、ゆえに孤独な試み。

視覚像がデフォルメし、狂気に近い想像が交ってくる――
戦中戦後の絶えざる噪音、そして批評の無関心のなか、ひっそりと世間へ向けつづけた目。
平凡な風景の底に、光りかがやく宝石の冷めたさ。


【目次】
谷丹三の静かな小説 ―あわせて・人生は甘美であるという話― 坂口安吾
   -column-  信一と安吾
遺恨  
センチメンタリズム 
  帰りたい心 
  星石  
死んだ真似  
フウインム先生 
  悪魔の酒 
  -column-  西洋私小説論(その一) ヘンリ・ミラーについて
黄色い雪だるま  
わが身はいとわし 
  -column-  哄笑論
脱出未遂  
動物貴族 
  闖入者
失行症  
脱がし屋 
  -column-  共犯者
半助場外へいく 
  アヴェ マリア  
-column-  安吾先生とファルス
谷丹三のこと 埴谷雄高  
解説  齋藤靖朗
初出一覧