「精神と官能」「男と女」――色鮮やかな生の無限の混沌を、あふれる機知とイロニーでもって、めくるめくアラベスクへと織りあげたマニエリスム小説の傑作『ルツィンデ』のほか、文学と哲学、そして愛をめぐるフリードリヒ・シュレーゲルの初期批評3篇を収録。
■目次
ルツィンデ ひとつの小説(ロマーン)
ディオディーマについて
哲学について ドロテーアヘ
小説(ロマーン)についての書簡
註/フリードリヒ・シュレーゲル年譜/訳者解題
シラー戯曲傑作選 ヴィルヘルム・テル
Schillers ausgewählte Dramen. Wilhelm Tell
14世紀初頭、代官の圧政に苦しむスイス三州の民衆は、独立を求めて同盟し蜂起する――盟友の文豪ゲーテとの交遊を通じて構想された、〝弓の名手〟の英雄ヴィルヘルム・テル伝説、スイスの史実を材に、民衆の精神的自由を力強く活写した、劇作家シラーの不朽の歴史劇。
あの地獄の苦しみの瞬間に俺が誓った事は、
俺にとっては神聖な責務だ。俺はその務めを果たす。
ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語
貧困に負けず学問を続けて大成する、独学者の数奇な人生行路を描いた18世紀ドイツの自伝文学。「疾風怒濤」運動の中心人物ゲーテ、観相学者ラヴァーター、思想家ヘルダーらとの親交から生まれた、〈ヴィルヘルム・マイスター〉よりも大衆に読まれた教養小説。本邦初訳。
◆本文より
聴衆の前で話しているとき、シュティリングは水を得た魚(うお)であった。話しているうちに彼の頭の中で概念がどんどん発展していき、しばしばすべてを言い表すための十分な言葉を見つけることができないほどだった。話しているとき、シュティリングという存在そのものが明るく晴れわたり、混じりけのない生命とその表出そのものになった。
ユング゠シュティリングのエネルギーの本質は、決して揺らぐことない神への信仰と、あらゆる災厄から間違いなく彼を救い出してくれる神慮への信頼に端的に表れていた。
──ゲーテ
現存するドイツ書のうち、最良の書であるエッカーマンの『ゲーテとの対話』を除けば、いったい何が繰り返し読まれるに値する散文文学だろうか。リヒテンベルクの『箴言集』、シュティフターの『晩夏』、ケラーの『ゼルトヴィーラの人々』、そしてユング゠シュティリングの『自伝』の第一書。これで当面は種切れであろう。
──ニーチェ
この素朴で胸に沁みる青春物語は、その飾らない筆致と相俟って、今もって感性の鋭い真面目な人々が耳傾けるに値する。
──ヘルマン・ヘッセ
「神の国」へ招かれた者の一人、まるで、そこからやって来て、「神の国」の存在を我々が見聞できるように保証してくれる人。
──ヨーハン・ペーター・ヘーベル
ユング゠シュティリング殿、私に真に実践的なキリスト教の要諦を教えてください。
──アレクサンドル一世
◆本文より
聴衆の前で話しているとき、シュティリングは水を得た魚(うお)であった。話しているうちに彼の頭の中で概念がどんどん発展していき、しばしばすべてを言い表すための十分な言葉を見つけることができないほどだった。話しているとき、シュティリングという存在そのものが明るく晴れわたり、混じりけのない生命とその表出そのものになった。
ユング゠シュティリングのエネルギーの本質は、決して揺らぐことない神への信仰と、あらゆる災厄から間違いなく彼を救い出してくれる神慮への信頼に端的に表れていた。
──ゲーテ
現存するドイツ書のうち、最良の書であるエッカーマンの『ゲーテとの対話』を除けば、いったい何が繰り返し読まれるに値する散文文学だろうか。リヒテンベルクの『箴言集』、シュティフターの『晩夏』、ケラーの『ゼルトヴィーラの人々』、そしてユング゠シュティリングの『自伝』の第一書。これで当面は種切れであろう。
──ニーチェ
この素朴で胸に沁みる青春物語は、その飾らない筆致と相俟って、今もって感性の鋭い真面目な人々が耳傾けるに値する。
──ヘルマン・ヘッセ
「神の国」へ招かれた者の一人、まるで、そこからやって来て、「神の国」の存在を我々が見聞できるように保証してくれる人。
──ヨーハン・ペーター・ヘーベル
ユング゠シュティリング殿、私に真に実践的なキリスト教の要諦を教えてください。
──アレクサンドル一世