両吟集 爛柯

「連句は連想がもたらす時空の変化、イメージの変遷を言葉で定着しようとする試みである。」
現代連句出版の到達点。

令和二年コロナ・パンデミック
遠雷の街に潜める憂ひあり
 朱夏の渚に寄する高波

令和五年コロナほぼ終息
原色のラテン系ゆく冬の街
 カオスを蹴ってブーツ闊歩す

メランジュ 詩と散文

定型韻文詩、自由韻文詩、自由詩、散文、散文詩を混在させ、挿絵とテクストを混淆させた詩人ヴァレリーの精神としての書物――「雑纂」「断章」の文学ジャンルの系譜を、新たな書法(エクリチュール)で切り開く〈散文と詩の混淆(メランジュ)〉。ヴァレリー自身の手による銅版画挿絵入り初版本新訳の決定版。

少年愛宣言

少年愛者でパンセクシャルの精神科医が 美少年を愛するがゆえの苦しみを解き放つ 自作小説・エッセイ/美少年「みこいす」の写真/雨依はると・村祖俊一のコミック/須永朝彦の短歌

抒情の変容

時代を越えて浮かび上がる抒情の多面性

ボードレール、バンヴィル、ユゴー、ルヴェルディ、フォラン、レダ、エマーズら19世紀から21世紀までのフランス近現代詩をめぐり、「抒情詩(poésie lyrique)」「抒情性(lyrisme)」「抒情主体(sujet lyrique)」の三つの詩学概念を問う、フランス文学研究者6名の論考がひびきあうフランス抒情詩論集。

白木蓮咲く

歌と日記でつづる、あれから


物言わぬ死者たち眠る東山霊園汚染袋(フレコンバッグ)の高く積まれいる
雪の道ラッセルしつつ行く夫の付けし足跡に重ねて歩く

あとがきより
夫の死が認められなくて、それなら、夫の描いた絵を形として残したいと思った。原発事故の世の中を一枚の絵に込めた白木蓮の絵が、通夜の夜に白く光って浮き上がって見えた。この絵を私の十年余りの原発事故の記録と共に、形にしたいと思った。

おしらこさま綺聞

記憶と地層の深みから 「未知なる声」が響き渡る 圧倒的創造空間

声(こィ)よりも深(ふが)い音(おと)っこ、
生類(しょうるい)は抱(かが)えておるんじゃ
ねぇのすか。

おーしらこさまは、
身代(みが)ァりどぉ、
あんだァの

卵権

収録作より ほら俺は男だと 手を取りズボンの股間を触らせる男は 面子すなわち股間を立てるのが女と 信じているようだから 思いっきり面子を膝蹴りのち 大外刈りから背負い投げで 中央通りに這わせたら ようやく 女が人間だと理解するだろうか ……言葉は脳を通過するらしい

北園克衛1920年代実験小説集成20’s

小説か詩か暗号か。ギムゲニスト、シュルレアリスム 埋もれていた実験小説27篇を収録小説か詩か暗号か。ギムゲニスト、シュルレアリスム 埋もれていた実験小説27篇を収録
北園克衛の画を装画として本文やカバー、表紙などに14点使用。

■目次■
i
ホテルとパイプ
意識的偶成 3   対抗運動としての植物的な一形式
赤い巻煙草 デエードシユカ伯父さんのそのグループのための短篇
紫色の液体
スパイラル期の暗号
RONODO UN PICARO(人間はこうもなるものであるか!)
ブリリアント
逆体

銀座(或る人々の生活に就いて)
生きる薔薇
日傘
Sanisarisus 夜話
海洋ホテル 銀色の装禎ある記録
エロトマニアの視線 近代型パラソル流行の原理に就いて
ポリドオルの閨
第七課 芸術誌
上層記号建築
車前草の咲いてゐる短編
NOIR(黒の如きもの) a sentimen
春の鏡
魔女の灰
水星の時間

エリコ
初夏のアクシデント
秋のトリック
シユウルレアリストの街
詩のプレゼント
附録 ヌポセチエンスク街(合作)
解説  加藤仁

ことばの力 うたの心

単調で、複雑な意味の表現をしていないにもかかわらず、なぜ芸術的感銘を与えるのか――
『言語にとって美とはなにか』以来の素朴な疑問を携え、短歌表現の魅力に迫る歌人論。

「ぼくは短歌に執着している、
つくらないけれども、
読むことに執着している。」

収録歌人論(生年・収録順)
長塚 節
斎藤茂吉
石川啄木 【啄】は正字
折口信夫
前川佐美雄
近藤芳美
江口きち
塚本邦雄 【塚】と【邦】は正字
村上一郎
前登志夫
岡井 隆
寺山修司
佐佐木幸綱
辺見じゅん
岸上大作
福島泰樹
俵 万智

ポエジーへの応答

パンデミックはファシズムへのショートカットである。仕掛けられた因果の連鎖に回収されてはならない。

終わりの見えない「危機」の最中で、文学の言葉が果たすべきこととは何かーー世界は詩である」という確信から「無血な力」を言葉に呼び込み、イデオロギー言説を迎撃する、抵抗主体としてのクリティークの記録。(主に2020年以降発表の作品を収録)
対談:野村喜和夫/藤原安紀子/宇野邦一

わたしという異邦へ

若き俊英が挑む「詩人の孤独」。第二詩集。
ヘーゲル、マルクス、フロイト、吉本隆明、折口信夫らを通して、詩の領域をことばの向こう側へ探究する瑞々しい感性に刮目せよ!

魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論 

シュルレアリスムの先駆的存在と知らしめた〈イマージュ〉から孤高の存在へと歩を進めた詩人ルヴェルディ――初期から晩年に至る30篇の「詩」、本邦初訳「詩と呼ばれるこの情動」他「詩論」4篇、E・グリッサンのルヴェルディ論を付したルヴェルディ詩学の核心に迫る精選作品集。 訳者による本書の解題(抜粋)はnoteで公開しています。

青いと惑い

英文学者でもある著者が、1979年以降これまで書き留めた創作(詩、小説)をまとめる。 ジェイムズ・ジョイスの娘ルチアとサミュエル・ベケットの恋愛、ジム・モリソンをモデルにした作品や、人類学的ファンタジー、キャンパス・ノベルなど多彩。ウィリアム・プルーマーをめぐる思索を経て冒頭のメタフィクションと円環をなす。

山の花環 小宇宙の光

イスラム教改宗者の盗伐という歴史的事件を材に、民衆の「哀しき人間の運命」を綴った、セルビア「第二の聖書」と目される一大詩篇「山の花環」。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う「小宇宙の光」。 セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュの二大叙事詩。

イェレナ、いない女 他十三篇

目にするものはすべて詩であり、手に触れるものはすべて痛みである。 不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか、歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の詩学として語り続けた、ノーベル文学賞作家アンドリッチ。 短篇小説、散文詩、エッセイを収録した、精選作品集。 ■短篇小説 アリヤ・ジェルズレズの旅 蛇 石の上の女 一九二〇年の手紙 三人の少年 ジェバの橋 アスカと狼 イェレナ、いない女 ■散文詩 エクス・ポンド(黒海より) 不安 ■エッセイ スペインの現実と最初の一歩 コソボ史観の悲劇の主人公ニェゴシュ いかにして書物と文学の世界に入ったか

アムール・ジョーヌ

中原中也の愛した、翻訳詩『黄色い恋』の、初の完全日本語訳。ヴェルレーヌ『呪われた詩人たち』によって、世に知られた、コルビエールの名高き名作。

本書の訳者解題はnoteで公開しています。

本書と同時刊のヴェルレーヌ『呪われた詩人たち』(倉方健作・訳)刊行記念の訳者による対談は、noteで前編後編の2回にわけて公開しています。

ルリユール叢書のInstagramインスタグラムはこちらです。

呪われた詩人たち

コルビエール、ランボー、マラルメらを世に知らしめ、同時代人の蒙を開き、時代におおきな影響をもたらした評論の、初の原著からの完全日本語訳。 訳者(倉方健作)の解題はnoteで公開しています。 本書と同時刊のコルビエール『アムール・ジョーヌ』(小澤真・訳)刊行記念対談もnoteで、前編後編と2回にわけて、公開しています。

メーゾン・ベルビウ地帯

日本幻想文学史上に燦然とする『椿實全作品』を改題し、私家版の歌集をはじめ未発表評論や書簡を加え、復刊。初版800部限定ナンバー入

骨なしオデュッセイア

幻想小説 あるいは 長篇散文詩 背骨をベッドに残して夢遊へと去った男、残された背骨に水をかけ骨栽培する女。詩と小説の融合。

ロミイの代辯

みんな くたばれ  発掘資料より43+3篇。詩歌、散文、写真。没35年、いまなお響く、そのロマネスク。