死にたさの虫が鳴いている ある精神科医の、少年時代からの、インモラルな心の軌跡。溝口病院の当直室から、駅の線路が見える。 ガタンガタンと通る列車が見える。ガタンガタンと、死にたさが鳴る。 ハハ、みんなの死にたさを だれも だれしも 癒すことなんてできないから、きょうも私は 虚無に供物をささげているのです 著者: 1989年:東京生まれ。ほか非公開装画:村祖俊一